なぜシニアUD?
このページは、運営員 柳原美紗子(日本綿業振興会ファッションディレクター、ファッションジャーナリスト)が担当します。

2016.10.8
vol.8
JFW-IFF
ヒッププロテクターで楽しくお散歩
今期JFW-IFFに出展した株式会社アイエムユーは、新シニアブランド「遊子」(昨日の記事参照)と同時に、ヒッププロテクター・ブランド「サンポーチ (SUN-POCHE)」も発表しています。
ヒッププロテクターは一般に転倒したときに、文字通りヒップを守るプロテクターです。とはいえこのサンポーチはヒップ=腰というよりは、腰の骨を守ります。骨に加わる衝撃を吸収するパッドが取り付けられるようになっていて、しかもファッション性も配慮されています。福祉衣料でもありませんし、これまで見たことのないようなブランド、と思いました。
高齢者にとって昨今大きな問題となっているのが「大腿骨頸部骨折」です。骨折すると長期間歩行困難になり、外に出る気力や体力が衰えてしまうケースがよくあるといいます。しかしたとえ転んでも、少しでも衝撃を和らげてくれるものがあれば、安心して外出できます。同ブランドは、「楽しくお散歩したい」、そんな要望に応えて開発されたといいます。
ヒッププロテクターは手のひら大の円形です。衝撃吸収性に優れ、軽くて、簡単に水洗いできる材料が使われています。
サンポーチのアイテムはすべてこのパッドが入るポケット付きです。下着のパンツからベルトタイプのもの、 またスカートやパンツ、さらにはアウタージャケットやロングベストまで、内側の腰骨の当たる部分にポケットが付いています。パッドは取り外し自在です。
まさに「楽しくお散歩 サンポーチ」。骨粗鬆症などで散歩やジョギングが不安という方も、これをつければ活発に活動したくなってくるかもしれません。
価格はベルトタイプで約1万円、アウターパンツで1万3千円くらいからとか。発売は「遊子」と同様、来年中とのことでした。

2016.10.7
vol.7
JFW-IFF
アイエムユーの新シニアブランド「遊子」
ユニバーサルファッションを展開する株式会社アイエムユーが、先月26-28日、東京ビッグサイトで開催されたJFW-IFFインターナショナルファッションフェア(繊研新聞社主催)に出展し、75歳以上の女性向けファッションブランド「YUUSHI~遊子~」を発表しました。
この新ブランドの「遊子」は、旅人の意味です。旅でもしているようなイメージで、楽しい興味や変化を求める洗練されたマダムに向けて提案したといいます。コレクションは、そうしたシニアの女性たちに協力を依頼し、ボディから開発したとのこと。
ブース前面に、75歳の女性の平均体型でつくったという工業用ボディを展示していました。これは現代のシニア女性が美しく見えるように進化させた、新バージョンのボディです。
従来のボディではウエストが太め過ぎだったり、バスト位置が下がり過ぎていたり、背中の丸みが曲がり過ぎだったり----、難点がたくさんあったのを改良したといいます。
スタッフたちが以前からあたためていた企画です。「とうとうできあがった!」と、私もうれしい気持ちになりました。
スタイリングは小粋でエレガント、目に見えないディテール部分では、誰にでも着やすくて着心地のよい機能が採り入れられています。たとえば着脱しやすいように、コートやトップスは袖通しが楽にできる広めのアームホール、1.5cm以上の大きいボタンや斜めボタンホール、パンツは脚の内側にコンシールファスナー付き、ニットウエアは滑りをよくする工夫など。
素材にもこだわり、春夏ものということで清涼感があってしかも上品、レースや刺繍など夢のある質感も程よく選ばれていました。「発売は?」と伺いましたら、来年中とのことでした。どのように展開されていくのか、楽しみです。

2016.10.5
vol.6
落合恵子さん講演会
「質問 老いることはいやですか?」
先月末、カラート71プロジェクトで、「質問 老いることはいやですか?-作家 落合恵子さんと考えるファッションのこれから-」と題した講演会が開催されました。
カラート71プロジェクトは、NPO法人ユニバーサルファッション協会、大学、研究機関の他、企業家、ジャーナリストなどファッション業界内外で活躍している方々を企画・運営委員に迎え、(株)ニューロビングループの支援を受けて発足したものです。
5回目となる今回のスピーカーは、作家でクレヨンハウス代表の落合恵子さん。71歳を迎え、この春、エッセイ集「質問 老いることはいやですか?」(朝日新聞出版)を出版され、またファッションブランド「Ms.
crayonhouse(ミズ・クレヨンハウス)」もデビューさせました。「着たい服がなかった。でもオーダーなんて面倒、それに高価。それなら自分でつくるしかない。」と、初めて服をデザインしたのだそうです。
本講演では、同ブランドの黒いプルオーバーとロングスカートのコーデで登場。足元はスニーカーです。
プルオーバーはボタンもファスナーもない、着脱しやすいかぶり型。裾のラインを大胆にななめにカットすることで、すっきりとたて長のラインが強調され、長い側には動きやすいようにスリットが入っています。パターンはミリ単位で考案し、何度も試着して着心地を確認したといいます。
素材はアバンティとの協働によるテキサス・オーガニックコットン100%の伸縮性のある繊細なジャージーです。世界中にオーガニックコットン畑を広めたいと熱っぽく語られていたのが印象的でした。この詳細についてはクレヨンハウス発行の雑誌「いいね」をご覧ください、とのことです。
さて本題の「質問 老いることはいやですか?」では、冒頭、メイ・サートン著「独り居の日記」の中の一節、「私から年齢を奪わないでください。働いて、ようやく手に入れたのですから」を紹介。またアメリカの女性人権活動家、デア・ロバックさんの言葉、「私のシワは、私の人生の成長の証です。---ツルンとした顔に戻りたいとは思いません」を引用し、「シワとシミとシラガは、女性が年を重ねることの表面的な変化に過ぎません。無理に若々しくあらねばならない、とは考えていないのです」と、エイジングを肯定されました。髪も敢えて染めない自然流の落合さん。本当に自然体な生き方をされている、と共感しました。
この日はたまたま台風が襲来した悪天候でした。帰途を考え早めの終了となり、少し残念でしたけれど、またの機会を楽しみにしています。

2015.8.19
vol.5
「60歳からの起業の教科書」出版記念講演会
「一流社員じゃなかった。だから今がある。銀行も驚く急成長は、失敗だらけのサラリーマン人生があったから。」のキャッチコピーに惹かれます。これは「アイ・エム・ユー」代表取締役社長で、ユニバーサルファッション協会理事長の岡田たけ志氏の著書「60歳からの起業の教科書」(ATパブリケーション 1400円+税)にある帯言葉です。驕らない自然体なお人柄が表れています。
先月末、ユニバーサルファッション協会主催で、この本の出版記念講演会が、東京・台東デザイナーズビレッジで開催されました。
講演では、まずガモコレ(巣鴨コレクション)の映像が紹介されました。この元気なおばあさんたちのファッションショーに、同社のブランド「大人の美モード」が協力しているのです。
この後、同氏が64歳で起業するまでの軌跡が語られました。この中で興味深かったのが、「定年起業」を成功させるポイントです。
⑴資金力については、創業支援窓口へ相談することなどをアドバイス。
⑵プレゼンテーション能力は、「なぜ、なぜ、なぜ」で理論力をみがくこと。「こうなんです」と断言する、ぶれないことが大切といいます。
⑶数字力は、在職中からトレーニングしておくこと。
⑷ 女性活用では、女性中心の組織作りをすること。「女性に、とにかく任せる」、「叱らない、褒めない」のキーワードは、私も同じ女性として、「その通り」と実感します。
この他、「パートナーを大事にすること」や、「起業には2番手が向いている」など、幅広い実体験からにじみ出たお話をされ、心が揺さぶられる思いでした。
最後に触れられたのが、「社会貢献」です。ファッションは人を笑顔にし、人を輝かせると、ファッションの力を力説されました。同社は、毎年高齢者施設でファッションショーを行っています。このようなボランティア活動を通じて、人と人をつなぐ媒体となっていくと述べられました。
これまで高齢者向けファッション商品というと、地味なデザインばかりでした。実は現在でも相変わらずそう思われているふしがあります。しかしファッションは常に美を追求するものです。この高齢者向けという先入観を打壊すために、同社では積極的に若手デザイナーを起用し、明るく若いセンスを採り入れているといいます。
岡田氏は、「役職定年」を迎えられたとき、「自分にはやり残しがある」、それは「ユニバーサルファッション」の普及だ、との信念で、会社を起ち上げられたそうです。この「アイ・エム・ユー」は、わずか3年で年商20億を達成し、2018年には株式上場を目指しているとのこと。本当にすばらしいと、感銘いたしました。
定年後をどう生きるか、そのヒントがいっぱいに詰まった講演会でした。


2015.8.7
vol.4
JFW-IFF
「大人のための美モード」 存在感光る
いつでも、どこでも、誰でもがファッションを楽しめる「大人のための美モード (Be Mode)」が、この22〜24日、東京ビッグサイトで開催されたJFW-IFFインターナショナル・ファッション・フェアに出展。ナチュラルライフスタイル・エリアで一際光る存在感を放っていました。
ファッションは似合わないからダメと思っていた女性も、ここに来ると自分にも着こせそう、と思える服が並んでいたからでしょう。ブースでは足を止めて見る来場者への応対に、担当者が追われている様子でした。
ビデオも人気で、同ブランドが協力するガモコレ(巣鴨コレクション)の映像を放映したことが効果的だったようです。ファッションを生き生きと楽しむシニア女性たちの姿を、興味深く見つめる人たちが数多く見られました。
私も、偶然居合わせた知り合いに、これは誰が企画しているのかなどと問われ、このようなファッションイベントへの関心の高まりを改めて感じました。
ブース展示は、手前正面にキャシー中島のカラフルな「マカナナキャシー Makana na Cathy」、左手後ろに、新ブランドのアンミカの「アネラリュクス ANELA LUX」、右手にヒロミヨシダの「デイトゥーデイ day to day」の新作コレクションを配して、マネキンを使ってショーイング。いずれもシルエットが美しくエレガントで、着やせして見えそうなものばかりです。
あらゆる人が笑顔でいられるように、という同ブランドのユニバーサルファッションへの思いが、素直に伝わってくるステキな提案でした。
2014.8.18
なぜシニアUD?
vol.3
ユニバーサルファッションを提案する「大人のBEモード」
ユニバーサルファッションを提案する「大人のBEモード」が、先般、JFW-IFFと同時開催されたFBSファッションビジネスソリューションフェアに初出展。
これは、テレビショッピングでユニバーサルファッション商品を展開するアイエムユーが取り扱うブランドコレクションで、吉田ヒロミによるデイ・トゥ・デイDAY TO DAYや、花井幸子監修のプロシューマーPROSUMER、仁科亜季子のニシナ・バイ・アキコNishina by Akikoなど、錚々たるブランドが勢揃いしていました。
今回は、とくに「羽織る」に焦点を当て、カーディガンのコーディネイトを中心に、着やすく着心地のよいデザインを訴求。
また軽量かつストレッチ性のある素材や スイスの超長繊維綿使いによるシャリ感、高接触冷感が特長のアイスコットン製品など、ユニバーサルデザインの機能素材にこだわったアイテムが紹介されました。
ユニバーサルファッションは、機能美だけではない、洗練された大人の女性のためのクオリティの高い商品であることを印象付けることに成功していたと思います。
これに併せて、ユニバーサルファッション協会主催「ユニバーサルファッションフェスタ」(10月21〜22日 東京・六本木ハリウッドビューティー専門学校にて開催) の予告展示も行われ、バイヤーの関心を集めていました。